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「海外のローカルハンドクラフト」がコンセプトのお店をはじめるきっかけとなった、メキシコの手工芸。
チアパス州、サンクリストバルデラスカサスに滞在していたときに出合った手織りのトートバッグは、きっかけとなったハンドクラフトの一つです。
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初めは完成しているものをセレクトしていましたが
帰国後はオリジナルデザインを制作し、今も新色を織ってもらっています。
このバッグは、街から数時間けて山を超えてたどり着くララインサールという小さな村で製作しています。
2024年初め、現地の織り手さんを久しぶりに尋ねた時のブログはこちらからご覧いただけます。
観光では訪れることのない山間いの村ララインサールには
マヤ系の先住民族が暮らしています。
織物が盛んで、衣服や雑貨を生産し、定期的に街に販売に行き
生計をたてて暮らす人が多くいます。
柱などに固定した織り機を腰に巻いて
手で織っていく腰織(こしばた)という手法で織っている、ハンモックバッグ。
大きい織り機を必要とせず、家の軒先でできるため
家事や子守をしながらできる作業として、メキシコやグアテマラに住むマヤ民族の代表的な手仕事のひとつ。
綿糸をつむぎ、織り、縫う。すべての工程を手作業で行っています。
織り手さんは少人数の家族経営なので
早く、たくさん作ることは難しいですが
機織りという伝統的な生産技術を尊重し、
そのペースを崩したくないと考えています。
機械ではないため「何日間で何枚できる」という確実性はありません。
天気が悪い日が続いたり、体調を崩して作業できないこともあります。
でも、それこそが手仕事であり、当たり前のことだと思っています。
工業化したほうが生産が安定し、暮らしや生活環境が整うかもしれません。
しかし、作り手がそれを望んでいないこともあります。
便利になること、生活レベルを向上することが優先だとは限らないと、
彼女たちのものづくりを見ていて感じました。
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私たちが普段、良いと思っていることや常識が
ここに暮らす人たちにとって同じではないこと。
ここに載せている写真を撮るのも簡単ではありませんでした。
「生産風景を伝えることに意味がある」と考える私と、
今の暮らしを守ることを大事にする彼女たち。
先住民族の教えや伝統を継承して暮らす彼女たちとものづくりをしていると
日本での常識や思考に立ち止まって考えることがあります。
手紡ぎ、手織り、手縫いだからこそ感じる風合い、
手にしたときの馴染みやすさが魅力のララインサール村のハンモックバッグは
大量消費・大量生産の対極にあるスローファッション。
伝統的な技法や生活様式を守る『この土地ならではのものづくり』を
これからも継続しながら、このバッグを紹介していきたいです。