ポーランドとの出合いとフェアトレード

ポーランドとの出合いとフェアトレード


.

今年の1月27日はアウシュビッツ強制収容所の解放から80年の国際ホロコースト記念日。だそうで、10年前に訪れた時のことを考えていました。

当時の私はポーランドの雑貨や民芸品よりも、この目でナチスの大虐殺の跡地を見ることしか頭になかったので、アウシュビッツを訪れるためにポーランドに行き、クラクフに泊まり、現地のツアーに申し込みました。

アウシュビッツでは雲ひとつない秋の晴天だったけど、まだ薄暗い夜明けのクラクフの凍てつく寒さは今でも覚えています。

当時のままに残されたもの、建物、敷地。
だんだんと見るのが堪えられなくなるほどの負の遺産。
ずっと眉間にシワがよったまま、アウシュビッツを歩いていました。


写真の線路はヨーロッパ中から集めたユダヤ人を運ぶための線路。アウシュビッツは終点であり、ここでの奴隷生活と虐殺のはじまりです。家畜列車で運ばれたユダヤ人の心境を思うとますますシワが深くなります。

ヨーロッパを旅しているとグラデーションのように自然に移り変わっていく街並みがとても印象的。

国境で区切れない複雑な歴史や隣国との歩みは、島国育ちの私には皮肉だけど魅力にも感じます。

NOZZI BAZZARが国やジャンルに縛られずにさまざまなアイテムを扱っている理由は、そこに通じています。

「〇〇で作られたもの」と区切るのは明確だけれど、視野が狭くなる。それに縛られず、自由に、各地のものを楽しんで暮らしに取り入れていくことが、世界との繋がりや身近に感じるきっかけになると考えています。

ポーランドの隣国ドイツやロシアのハンドクラフトも扱っています。国の歴史と個人は同じ歩みではなく、憎ぬべきではないし、平等に見る視点を常に大切にしています。

作り手との対等な取引であるフェアトレードは、お互いが相手を尊重することで「対等」な関係が成り立ちます。

「大切に使っていきたい本物のハンドクラフト」という軸を大切に、これからもこのお店を運営しながら各地と繋がり、本物の手仕事をお届けしていきます。

昨年訪れたポーランドでは、10年前に感じることができなかった今のポーランドを見ることが一番の目的で、隣人を愛す、寛大な心をポーランドの各地で感じました。

そして山岳地方で作られているシープスキンルームシューズとの出合いが、ポーランドと私の繋がりになりました。現地の家族工房と、小さくても末永く良い関係を築いていきたいと思っています。

出店イベントでは、いろいろなアイテムを直接手に取って、試着して、リアルなお買い物体験を楽しんでいただけたら嬉しいです。